読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ソーシャルネットワーク

f:id:TOW:20170129021959j:plain


「セブン」デヴィッド・フィンチャーがはじめて実在の人物を描いた本作は、
facebook CEOのマーク・ザッカーバーグを中心に、世界最大のSNSをとりまく
若者たちの成功と苦悩、確執を捉えた。  

ハーバード大学に学ぶマーク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、親友のエドゥアルド
アンドリュー・ガーフィールド)ら仲間とともに、あるSNSサイトを立ち上げる。
だが、マークのアイデアはとある兄弟の着想にヒントを得ていた。facebook東海岸
席巻、西海岸をも射程に捉えたとき、Napster創始者ショーン・パーカー(ジャスティン
・ティンバーレイク)と出会ったことで、それぞれの関係に大きな変化が訪れてゆく。


物語の極点はおそらくショーンとの会話に置かれている。初めて顔を合わせた中華
ダイニングとクラブシーンの会話では、いずれもショーンが一方的に語るだけだが、
ザッカーバーグの内なる劣情をかきたて、たったひとつの友情さえ棄てさせる催奇性を
秘めている。また、テムズ川の漕艇でウィンクルボス兄弟(アーミー・ハマー)を捉えた
カメラワークも絶妙だ。逆チルト撮影による俯瞰でレースを追い、超低速再生で表情を狙う。
交互にこれを繰り返すことで、尊大に生きてきた兄弟の自尊心を取るに足らない現実の
一部分へと還元させ、facebookへの訴訟を決意する“事情”を補ってみせた。  


手わざもある。緻密な計算に支えられた会話に、テンポのよさ、ひとつひとつが高い水準を
充たしているのに物足りなさが残る。何となればそれは、フィンチャーが人間を巨視的に
捉える作家であることに基づいている。「セブン」で見せた原罪のアナロジーや
ファイトクラブ」で貫かれた肉体性の喪失も、すべては人間を、抽象的な存在として
“遠巻きに面白がる”姿勢に帰結するのだろう。  


いまひとつ感情移入できない人物と物語を分かち合うためには、観客みずからが微視的な視野を
ひらかねばならない。だが果たしてそこまでの価値があるのかと言えば、いささか疑問の残る作品だ。



ソーシャル・ネットワーク』 (2010 アメリカ)


監督 デヴィッド・フィンチャー 

出演 ジェシー・アイゼンバーグ アンドリュー・ガーフィールド ジャスティン・ティンバーレイク



                                  (2011年 1月)